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前回の記事では「Oculus Link」を使ってSteamVRを起動してゲームをプレイする方法!をご紹介しましたが、今回はその続編。
Oculus Linkを使ってVRChatをフルトラッキングでプレイする方法を記載したいと思います。
なお、PCと無線接続できる『Oculus Air Link』のやり方はこちらの記事でご紹介しています。
用意するもの
- ベースステーション1.0もしくは2.0(1個以上)
- VIVEトラッカー(腰のみなら1個・両足もやりたいなら3個)
こちらはSteamVR版のVRChatを使用します。詳しいインストール方法は上記の記事を参照してください。
SteamVRの設定ファイルを編集する
まず、QuestとVIVEトラッカーの複数デバイスを認識させるためにSteamVR側の設定ファイルを編集していきます。
SteamアプリやSteamVRがまだインストールできていない方は、Steam公式サイトから予めSteamアプリをDL&インストールしておき、ストア内にあるSteamVRをインストールしておきましょう。
設定ファイルの編集については、トナさんの記事を参考にさせて頂きました。
最初に C:\Program Files (x86)\Steam\config フォルダを開きます。 steamvr.vrsettingsファイルをメモ帳などのテキストエディタで開きます。 "steamvr" : {}の中に以下を追加します。 "activateMultipleDrivers" : true, "forcedDriver" : "null", カンマも必要なので入力忘れがないように注意しましょう。
おそらく、設定ファイルの最後あたりに”steamvr”の項目があると思うので、その{}内に追記してやる感じですね。
カンマも必要なので忘れずに記載しましょう。上記の文章をそのままコピペでも大丈夫です。
追記が終わったらファイルの保存を忘れずにしておきましょう!
VIVEトラッカーを認識させる
VIVEトラッカーを認識させるにはベースステーションが1個以上必要です。2個以上あれば対角線上に配置することで360度どの方向を向いても認識してくれるようになります。
また、SteamVRのデバイスメニューから事前にVIVEトラッカーとベースステーションをペアリングしておきましょう。




VIVEトラッカーの位置を調整する
SteamVRにQuest本体とVIVEトラッカーの両デバイスを認識させることには成功しましたが、そもそもOculusとVIVEは相容れぬ存在…。
このままではVIVEトラッカーが正常にトラッキングされないので、座標を自動的に修正してくれるツール『OpenVR-Space Calibrator』を導入しておきましょう。
ちなみにツールを使用しない場合は手動で位置を合わせる必要がある為、めちゃくちゃ面倒くさいです…。
GitHubリンク:OpenVR-Space Calibrator

GitHubにある実行ファイルをDL&インストールしておきましょう。
インストールが完了するとSteamVRのスタートアップオーバーレイアプリとして登録されますので確認しておきます。
スタートアップアプリとして登録されていない場合は、SteamVRの「設定」→「スタートアップ」からスタートアップオーバーレイをONにしておくことで、毎回自動的にアプリが立ち上がってくれてかなり便利です。

スタートアップの登録が終わったら、SteamVRを立ち上げてメインメニューから『OpenVR-Space Calibrator』を開きましょう。


まず、①「Copy Chaperone Bounds to profile」を選択してデフォルトのプレイエリアを保存しておきます。
続いて②「Reference Space」一覧からQuestのコントローラを選択します。(左右どちらでもOK)
ここで選択したコントローラの座標情報を元に、VIVEトラッカーのトラッキング情報を補正するというわけです。
トラッキング情報を補正したいVIVEトラッカーを③「Target Space」で選択しましょう。
ちなみに、トラッカーは一個だけを補正すれば自動的に他のトラッカーにも反映されるため、すべてのトラッカーを補正する必要はありません。
最後に④「Start Calibration」を選択して、キャリブレーション情報を補正します。
…といっても、文字で書いても分かりにくいと思うので、やり方を動画でご紹介しますね!
やり方を大まかに説明すると、②で選んだQuestのコントローラと③で選んだVIVEトラッカーを一緒に持って、空中で8の字を描くようにして位置情報を補正する『キャリブレーションの舞』を踊ります。
Calibration Speedは「Fast」「Slow」「Very Slow」とありますが、遅くなればなるほど精度が上がるようです。
ただ普通に使う分にはFastでも問題ありません。
ゲージがMAXになれば完了です。
実際にキャリブレーションして確認する
では実際にアバターをキャリブレーションしてみましょう!
キャリブレーションとは、アバターに自分の体をシンクロさせるために行う設定のようなものです。
VRCではキャリブレーションのことを「おめかし」や「お化粧」と言う人いるそうな…。

アバターとのキャリブレーション方法は、アバター選択画面から変更したいアバターを選択するか、メニュー画面内になるキャリブレーションを選択します。
画像のようにアバターがTポーズを取り、OculusTouchと先ほど設定したVIVEトラッカーが表示されると思いますので、アバターの位置と合わせてOculusTouchのトリガーを引きます。
これでキャリブレーションは完了です。
鏡の前で自分の足や腰がきちんと動くかどうかを確認してください。

問題がなければ好きなポーズを取って写真撮影をして完了です!おつかれさまでした。
実際の動きはこんな感じ。腰と両足が動くと没入感と表現力が段違いですね!
Oculus LinkでVIVEトラッカーを使ってフルトラできました〜! pic.twitter.com/sGm8W5qPYk
— 桜乃こはく💎@VRChat【VRブロガー】 (@kohaku_games_vr) November 26, 2019
ベースステーションの電源管理は「スマートプラグ」がおすすめ!
トラッカーを使用する度にベースステーションの電源をON-OFFするのが面倒という方は、スマホやAlexaなどの音声AIから電源管理が可能な「スマートプラグ」の導入がおすすめです!
Oculus Linkでフルトラするときにベースステーションの電源をいちいち ON/OFF するのが面倒ってときは、スマートプラグを導入するとスマホからワンタッチで操作できるからおすすめよ!(Alexaで音声操作もできる) pic.twitter.com/ixu8PJcJDR
— 桜乃こはく🌸💎こはろぐ (@kohaku_sakurano) October 25, 2020
スマートプラグを導入すると、いちいち電源プラグを抜き差しせずとも動画のようにスマホのアプリ上からベースステーションの電源をON-OFFすることができます。
興味のある方は是非導入してみてくださいね!
単体でフルトラが実現できるデバイスも数多く登場している
この他にも、様々なメーカーからフルトラになるためのトラッキングデバイスが販売されています!
ここでは、その中の一部をご紹介したいと思います。
Uni-motion

Uni-motionは、6個のセンサーを体に取り付けることで、ベースステーションなどの外部センサー要らずで合計9点トラッキングが可能になる完全ワイヤレスのトラッキングデバイスです!
それ単体で使えて、VIVEトラッカーと同じように完全ワイヤレスで運用が可能。おまけにお手軽かつ約5万円でフルトラ環境が手に入るというリーズナブルさも売りとなっている注目の製品ですが、内部センサーで位置情報を取得している為、トラッキング精度はVIVEトラッカーに劣るというデメリットもあります。
乾電池で駆動するのも他の製品にはない大きな特徴ですね。
こちらの製品もレビューしていますので、よかったら参考にしてみてください!
HaritoraX

こちらも「Uni-motion」と同じように、外部センサー不要で身に付けるだけでフルトラになれるトラッキングデバイスです!
こちらは、有線モデルの『HaritoraX 1.1』と、無線モデルの『HaritoraXワイヤレス』(2023年6月発売予定)が用意されており、それぞれ特色が違います。
有線モデルの『HaritoraX 1.1』場合は、腰に取り付けるセンサーユニットから足に伸びるセンサーまでが有線で繋がれており、腰のユニットを通して電力が供給されます。(腰だけ充電すればOK)
価格が33,900円と非常にリーズナブルということもあり、Quest 2ユーザーからは一番人気の製品だと言われていますね。

無線モデルの『HaritoraXワイヤレス』は各ユニットが別体となっており、完全ワイヤレスで動作する新しいHaritoraXとして注目を集めています。
本体重量がわずか17gと非常に軽量でありながら、約20時間動作するパワフルなバッテリーが特徴的です。
ただし、こちらも内蔵センサーを使っていることから、外部センサーから位置を取得するVIVEトラッカーよりはトラッキング精度が落ちるというデメリットもあります。
mocopi

mocopiは、天下のソニーマーケティングから発売される6つの小型センサーを装着するだけで、
どこでも手軽にフルボディトラッキングできる、モーションキャプチャーシステムです!
こちらも内蔵センサーによるトラッキングシステムを採用しているため、HaritoraXワイヤレスと大きな違いはないものとされています。
ただ、mocopiの場合は内蔵されているセンサーの種類が2種類しかないため、互いのセンサー間を測定する「地磁気センサー」が内蔵されていません。センサー数だけで見ると「HaritoraXワイヤレス」のほうに分があるため、この辺りが評価ポイントの分かれるところです。
また、mocopiの運用には対応しているスマートフォンが必須なので、これ単体で運用することはできません。
その代わりに、本体重量は8gと超軽量かつ、対応するスマホアプリから手軽にフルモーションで配信できたりと、活躍の幅が広がる可能性を秘めた最も注目されているデバイスです!
こちらも下記のリンクからレビュー記事を上げています!
スタンドアロンVR機なのに全身をトラッキングできる!