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昨今、怒涛の勢いでアップデートが施されているOculus Quest2ですが、先日遂にQuestとPCをワイヤレスで繋いでPCVR用のゲームを遊ぶことができる『Air Link』機能が実装されましたね!
今までも「VirtualDesktop」を使うことで無線化自体は可能でしたが、導入までの手順がややこしかったりアプリを購入する必要があったりと、初心者には何かとハードルが高いことがネックでした。
しかし、このAir Linkが実装されたことにより、サードパーティ製のアプリを介さずとも純正機能だけで完結することが可能になり、2000円程のアプリを購入する必要もなくなりました!
ということで今回は、Oculus Quest2のAirLink機能を使って、VRChatを無線フルトラで遊ぶ方法をご紹介したいと思います!
- 5GHzに対応したWi-Fiルーター(Wi-Fi6 推奨)
- ベースステーション(使用するVIVEトラッカーに対応するバージョン)
- VIVEトラッカー(使用するベースステーションに対応するバージョン)
今回は有線接続の「Oculus Link」とは違って、完全ワイヤレスでPCと接続するため、USBケーブル等は必要ありません。
なお、この方法で無線フルトラする場合は、Quest本体を「歩行モード」にして、大きめのプレイスペースを確保しておきましょう。
Quest2の電源を入れる前にベースステーションを起動しておくと、プレイスペースを設定する際に床を見失う場合があるようです。
その場合は、Quest2のエリア設定を済ませた後でベースステーションの電源を入れることで解決するようです。
①デスクトップPCにOculusアプリをインストールする
ここからは、既にOculus LinkでPCVRを楽しんでいる人に加えて、初めてQuestをPCに接続して遊ぶ方に向けて解説を進めて行きます。
まず最初に接続したいPCにOculusアプリをインストールします。
ページの中部にある「ソフトウェアをダウンロード」をクリックして、実行ファイルをDL&インストールしましょう。
インストールが完了したらソフトを起動します。

使っているヘッドセットを選ぶ画面が出てきますので「Quest 2」を選択します。

続いて接続方法を選択します。
今回はワイヤレスで接続するので「Air Link」を選択します。

アプリ側の設定はこれだけでOKです。
続いて、Quest側のAiriLink設定を行います。
次の工程でQuestとPCをワイヤレスで接続するので、Oculusアプリは開いたままにしておいて下さい。(最小化はOK)
②Quest側のAirLinkを有効化してPCに接続する
Quest側からAirLinkを使って、現在起動しているPCにワイヤレス接続します。

Quest本体のメニュー左下にあるクイック設定から「Oculus AirLink」を選択します。

画面が切り替わり、先ほど設定したOculusアプリがインストールされたPCを自動的に検索します。
検索が終わったら接続先のPC名が表示されますので「起動」を選択します。
接続先のPCは必ずホームネットワークに接続しておく必要があります。

ヘッドセット内とPCのアプリ側にペアリングコードが表示されますので、同じ数字が表示されているのを確認したら「確認」を選択します。

画面が切り替わり、PC側のOculus VRが立ち上がればPCとの接続は完了です!
下にあるメニューから「デスクトップ画面」を表示したり、音声周りの設定を見ることができるので一度確認しておきましょう。
③SteamVRの設定ファイルを編集する
さて、これで完全ワイヤレスでPCと接続することができました。
続いて、QuestとVIVEトラッカーの複数デバイスを認識させるためにSteamVR側の設定ファイルを編集していきます。
SteamアプリやSteamVRがまだインストールできていない方は、Steam公式サイトから予めSteamアプリをDL&インストールしておき、ストア内にあるSteamVRをインストールしておきましょう。
設定ファイルの編集については、トナさんの記事を参考にさせて頂きました。
最初に C:\Program Files (x86)\Steam\config フォルダを開きます。 steamvr.vrsettingsファイルをメモ帳などのテキストエディタで開きます。 "steamvr" : {}の中に以下を追加します。 "activateMultipleDrivers" : true, "forcedDriver" : "null", カンマも必要なので入力忘れがないように注意しましょう。
要約すると、C:\Program Files (x86)\Steam\configのフォルダ内にあるsteamvr.vrsettingsをメモ帳などで開き、その中にある“steamvr”の項目の{}内に上記の設定を追加してやる感じですね。

このときに注意しないといけないのが、コードを追加する場所は”steamvr”の中の一番上の行に記載しないとSteamVRを起動した際にコードが無効化されてしまうようです。(”install ID”よりも上の赤枠のところにコピペする)
また、カンマも必要なので忘れずに記載しましょう。不安な方は上記の文章をそのままコピペでも大丈夫です。
追加が終わったらファイルの保存を忘れずにしておきましょう!
④VIVEトラッカーをペアリングする
設定ファイルの編集が終わったら、早速VIVEトラッカーをペアリングしておきます。
既にVIVEトラッカーを使用しているという場合には、この手順はスキップしてもらって大丈夫です!
SteamVRを起動してVIVEトラッカーが正常に認識するかの確認だけしておきましょう。
初めてVIVEトラッカーをペアリングする場合
事前にベースステーションを設置しておき、VIVEトラッカーのドングルをPCのUSBポートに接続しておきます。
まず、SteamVR起動して左上にあるメニューから「デバイス」→「コントローラーのペアリング」を選択しましょう。


左下にある「HTC VIVEトラッカー」を選択します。

上記の画面になったら、VIVEトラッカーの中央にあるシステムボタンが青く点滅するまで長押しします。

LEDランプが緑色に点灯して「コントローラが接続されました」の文字が出たらペアリング完了です。
引き続き、別のVIVEトラッカーをペアリングする場合は「別のコントローラをペアリング」を選択します。
フルトラをする場合には3個のVIVEトラッカーそれぞれにペアリング作業が必要です。

Quest本体 + コントローラ2個 + ベースステーション2個 + VIVEトラッカー3個を接続したらこんな感じになります。
⑤Space Calibratorをインストールする
SteamVRにQuestとVIVEトラッカーの両デバイスを認識させることには成功しましたが、そもそもOculusとVIVEは相容れぬ存在…。
このままではVIVEトラッカーが正常にトラッキングされないので、座標を自動的に修正してくれるツール『OpenVR-Space Calibrator』を導入しておきましょう。
ちなみにツールを使用しない場合は手動で位置を合わせる必要がある為、めちゃくちゃ面倒くさいです…。
GitHubリンク:OpenVR-Space Calibrator

GitHubにある実行ファイルをDL&インストールしておきましょう。
インストールが完了するとSteamVRのスタートアップオーバーレイアプリとして登録されますので確認しておきます。
スタートアップアプリとして登録されていない場合は、SteamVRの「設定」→「スタートアップ」からスタートアップオーバーレイをONにしておくことで、毎回自動的にアプリが立ち上がってくれてかなり便利です。

⑥トラッカーの位置補正をする
スタートアップの登録が終わったら、SteamVRを立ち上げてメインメニューから『OpenVR-Space Calibrator』を開きましょう。


まず、①「Copy Chaperone Bounds to profile」を選択してデフォルトのプレイエリアを保存しておきます。
続いて②「Reference Space」一覧からQuestのコントローラを選択します。(左右どちらでもOK)
ここで選択したコントローラの座標情報を元に、VIVEトラッカーのトラッキング情報を補正するというわけです。
トラッキング情報を補正したいVIVEトラッカーを③「Target Space」で選択しましょう。
ちなみに、トラッカーは一個だけを補正すれば自動的に他のトラッカーにも反映されるため、すべてのトラッカーを補正する必要はありません。
最後に④「Start Calibration」を選択して、キャリブレーション情報を補正します。
…といっても、文字で書いても分かりにくいと思うので、やり方を動画でご紹介しますね!
やり方を大まかに説明すると、②で選んだQuestのコントローラと③で選んだVIVEトラッカーを一緒に持って、空中で8の字を描くようにして位置情報を補正する『キャリブレーションの舞』を踊ります。
Calibration Speedは「Fast」「Slow」「Very Slow」とありますが、遅くなればなるほど精度が上がるようです。
ただ普通に使う分にはFastでも問題ありません。
ゲージがMAXになれば完了です。
さぁ、いよいよVRChatにログインしてみましょう!
⑦VRChat内でキャリブレーション

VRChatにログインしたら、メニューの中にある「Calibrate」を選択します。

すると、VIVEトラッカーの位置に光の玉が現れると思うので、それぞれ腰・両足に位置を合わせてコントローラのトリガーを引きます。
正常にキャリブレートできると、自分の足腰の位置がアバターに反映されるはずです。
ひさびさにQuest2を無線フルトラ化!
キーバインドとサウンド周りも大丈夫そうね pic.twitter.com/qG0Jd4uxYx— 桜乃こはく🌸VRブロガー (@kohaku_sakurano) June 9, 2021
以上で設定完了です!
おつかれさまでした!
- Oculusアプリを起動
- Oculus AirLinkを起動
- SteamVRを起動
- 『OpenVR-Space Calibrator』でキャリブレーションの舞
- VRChatの起動
一見すると手順が多そうですが、OculusアプリはPCと同時起動にしておけば自動的に立ち上がりますし、SteamVRを起動させなくても直接VRChatを起動すれば自然と立ち上がるので、もう少し時短は可能だと思います。
キャリブレーションの舞だけは毎回必要みたいですけどね…w
少し長くなりましたが、Questを使って無線フルトラで遊びたい方は是非試してみてくださいね!
番外編:INDEXコントローラを使いたい場合
既にINDEXを所持していて、OculusコントローラではなくINDEXコントローラを使いたい方もいらっしゃると思いますので追記しておきます。
INDEXコントローラを使いたい場合は、ドングル機能でもあるINDEX本体をPCと繋いでおく必要があります。
DPケーブルは繋がなくて大丈夫なので、付属のUSBケーブルと電源コードだけは繋いだ状態でSteamVRを起動しましょう。
このとき、Oculusコントローラが認識されているとそっちに腕が持っていかれるので、動かない場所に置いて認識が外れるのを待つか、SteamVR起動前に電池を抜いておくなどの対応が必要です。
ただ、僕の環境下だとINDEXコントローラも毎回キャリブレーションの舞が必要だったので、その度にOculusコントローラの電源を入れるのもちょっと手間だと感じました。
おそらくもう少し手間を省ける気はしますので、何か良さそうな情報がありましたらまた追記したいと思います。