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Oculus Quest 2やPICO 4には、VRヘッドセットとPCをワイヤレスで繋いでPC版のVRゲームをプレイすることができる『Air Link』や『Pico Link』が搭載されています。
これらの機能を使うことで、SteamVRから『PC版のVRChat』を遊ぶことができるわけですが、どうせなら全身を使ってVRに没入できる完全フルトラ状態でプレイしたいですよね!
実は、簡単な拡張ツールや少し設定をイジることで、”Oculus Quest 2″や”PICO 4″でも、わりと簡単に完全無線フルトラでVRChatを遊ぶことができちゃうんです!
この記事では、そのための方法や手順を分かりやすく解説していこうと思います!
VIVEトラッカーを使用する場合
- 5GHzに対応したWi-Fiルーター(Wi-Fi 6 推奨)
- VIVEベースステーション
- VIVEトラッカー
今回はQuest 2やPICO 4とPCを完全ワイヤレスで接続するため、USBケーブル等は必要ありません。
この方法で無線フルトラをする場合は、本体のプレイエリアを「歩行モード」や「ルームスケール」にして、大きめのプレイスペースを確保しておきましょう。
Quest2の場合、電源を入れる前にベースステーションを起動しておくと、プレイスペースを設定する際に床を見失うケースがあるようです。
その際はQuest2のエリア設定を済ませた後でベースステーションの電源を入れることで解決するとのこと。
Quest 2の接続手順
デスクトップPCにOculusアプリをインストールする
ここからは、既にOculus LinkでPCVRを楽しんでいる人に加えて、初めてQuestをPCに接続して遊ぶ方に向けて解説を進めて行きます。
まず最初に接続したいPCにOculusアプリをインストールします。
ページの中部にある「ソフトウェアをダウンロード」をクリックして、実行ファイルをDL&インストールしましょう。
インストールが完了したらソフトを起動します。

使っているヘッドセットを選ぶ画面が出てきますので「Quest 2」を選択します。

続いて接続方法を選択します。
今回はワイヤレスで接続するので「Air Link」を選択します。

アプリ側の設定はこれだけでOKです。
続いて、Quest側のAiriLink設定を行います。
次の工程でQuestとPCをワイヤレスで接続するので、Oculusアプリは開いたままにしておいて下さい。(最小化はOK)
Quest側のAirLinkを有効化してPCに接続する
Quest側からAirLinkを使って、現在起動しているPCにワイヤレス接続します。

メニューの「設定」から「Quest Link」→Quest Linkにチェックを入れます。

Quest本体のメニュー左下にあるクイック設定から「Oculus AirLink」を選択します。

画面が切り替わり、先ほど設定したOculusアプリがインストールされたPCを自動的に検索します。
検索が終わったら接続先のPC名が表示されますので「起動」を選択します。
接続先のPCは必ずホームネットワークに接続しておく必要があります。

ヘッドセット内とPCのアプリ側にペアリングコードが表示されますので、同じ数字が表示されているのを確認したら「確認」を選択します。

画面が切り替わり、PC側のOculus VRが立ち上がればPCとの接続は完了です!
下にあるメニューから「デスクトップ画面」を表示したり、音声周りの設定を見ることができるので一度確認しておきましょう。
PICO 4の接続手順
デスクトップにストリーミングアシストをインストールする
PICO 4をPCと接続する為には、PICO公式サイトから「ストリーミングアシスト」アプリをインストールする必要があります。
上記のリンクからPICO 4用のアプリをダウンロードしておきましょう。
インストールが完了すると、下記のような画面が表示されます。

接続モードを選択する画面になりますので、今回はWi-Fiを選びましょう。

画面がこのように接続待機中に切り替わったらPICO 4側の設定に移ります。
PICO 4の内蔵マイクを有効にする場合は、上記の六角形の歯車マークから「マイクをオンにする」にチェックを入れておく必要があります。
PICO 4側のストリーミングアシストを使用してPCに接続する

PICO 4を起動してアプリ一覧から「ストリーミングアシスト」を起動します。

アシストアプリを起動したら起動しているPCを選択して「接続」を選びましょう。
接続するPCとPICO 4は同じネットワークに接続している必要があります。

このように、SteamVRが起動してPICO 4側にストリーム画面が表示されたら接続完了です。
SteamVRの設定ファイルを編集する
さて、これでPCとワイヤレスで接続することができました。
続いて、Quest 2やPICO 4とVIVEトラッカーの複数デバイスを認識させるためにSteamVR側の設定ファイルを編集していきます。
SteamアプリやSteamVRがまだインストールできていない方は、Steam公式サイトから予めSteamアプリをDL&インストールしておき、ストア内にあるSteamVRをインストールしておきましょう。
設定ファイルの編集については、トナさんの記事を参考にさせて頂きました。
最初に C:\Program Files (x86)\Steam\config フォルダを開きます。 steamvr.vrsettingsファイルをメモ帳などのテキストエディタで開きます。 "steamvr" : {}の中に以下を追加します。 "activateMultipleDrivers" : true, "forcedDriver" : "null", カンマも必要なので入力忘れがないように注意しましょう。
要約すると、C:\Program Files (x86)\Steam\configのフォルダ内にあるsteamvr.vrsettingsをメモ帳などで開き、その中にある“steamvr”の項目の{}内に上記の設定を追加してやる感じですね。

このときに注意しないといけないのが、コードを追加する場所は”steamvr”の中の一番上の行に記載しないとSteamVRを起動した際にコードが無効化されてしまうようです。(”install ID”よりも上の赤枠のところにコピペする)
また、カンマも必要なので忘れずに記載しましょう。不安な方は上記の文章をそのままコピペでも大丈夫です。
追加が終わったらファイルの保存を忘れずにしておきましょう!
VIVEトラッカーをペアリングする
設定ファイルの編集が終わったら、早速VIVEトラッカーをペアリングしておきます。
既にVIVEトラッカーを使用しているという場合には、この手順はスキップしてもらって大丈夫です!
SteamVRを起動してVIVEトラッカーが正常に認識するかの確認だけしておきましょう。
初めてVIVEトラッカーをペアリングする場合
事前にベースステーションを設置しておき、VIVEトラッカーのドングルをPCのUSBポートに接続しておきます。
まず、SteamVR起動して左上にあるメニューから「デバイス」→「コントローラーのペアリング」を選択しましょう。


左下にある「HTC VIVEトラッカー」を選択します。

上記の画面になったら、VIVEトラッカーの中央にあるシステムボタンが青く点滅するまで長押しします。

LEDランプが緑色に点灯して「コントローラが接続されました」の文字が出たらペアリング完了です。
引き続き、別のVIVEトラッカーをペアリングする場合は「別のコントローラをペアリング」を選択します。
フルトラをする場合には最低3個のVIVEトラッカーそれぞれにペアリング作業が必要です。

Quest本体 + コントローラ2個 + ベースステーション2個 + VIVEトラッカー3個を接続したらこんな感じになります。
「Space Calibrator」をインストールする
SteamVRにVIVEトラッカーと両デバイスを認識させることには成功しましたが、そもそもVIVEトラッカーはMetaやPICOとは別会社の製品です。
このままではVIVEトラッカーが正常にトラッキングされないので、座標を自動的に修正してくれるツール『OpenVR-Space Calibrator』を導入しておきましょう。
ちなみにツールを使用しない場合は手動で位置を合わせる必要がある為、めちゃくちゃ面倒くさいです…。
GitHubリンク:OpenVR-Space Calibrator

GitHubにある実行ファイルをDL&インストールしておきましょう。
インストールが完了するとSteamVRのスタートアップオーバーレイアプリとして登録されますので確認しておきます。
スタートアップアプリとして登録されていない場合は、SteamVRの「設定」→「スタートアップ」からスタートアップオーバーレイをONにしておくことで、毎回自動的にアプリが立ち上がってくれてかなり便利です。

トラッカーの位置補正をする
スタートアップの登録が終わったら、SteamVRを立ち上げてメインメニューから『OpenVR-Space Calibrator』を開きましょう。


まず、①「Copy Chaperone Bounds to profile」を選択してデフォルトのプレイエリアを保存しておきます。
続いて②「Reference Space」一覧からQuest 2やPICO 4のコントローラを選択します。(左右どちらでもOK)
ここで選択したコントローラの座標情報を元に、VIVEトラッカーのトラッキング情報を補正するというわけです。
トラッキング情報を補正したいVIVEトラッカーを③「Target Space」で選択しましょう。
ちなみに、トラッカーは一個だけを補正すれば自動的に他のトラッカーにも反映されるため、すべてのトラッカーを補正する必要はありません。
最後に④「Start Calibration」を選択して、キャリブレーション情報を補正します。
…といっても、文字で書いても分かりにくいと思うので、やり方を動画でご紹介しますね!
やり方を大まかに説明すると、②で選んだコントローラと③で選んだVIVEトラッカーを一緒に持って、空中で8の字を描くようにして位置情報を補正する『キャリブレーションの舞』を踊ります。
Calibration Speedは「Fast」「Slow」「Very Slow」とありますが、遅くなればなるほど精度が上がるようです。
ただ普通に使う分にはFastでも問題ありません。
ゲージがMAXになれば完了です。
さぁ、いよいよVRChatにログインしてみましょう!
VRChat内でキャリブレーション

VRChatにログインしたら、メニューの中にある「Calibrate」を選択します。

すると、VIVEトラッカーの位置に光の玉が現れると思うので、それぞれ腰・両足に位置を合わせてコントローラのトリガーを引きます。
正常にキャリブレートできると、自分の足腰の位置がアバターに反映されるはずです。
ひさびさにQuest2を無線フルトラ化!
キーバインドとサウンド周りも大丈夫そうね pic.twitter.com/qG0Jd4uxYx— 桜乃こはく🌸VRブロガー (@kohaku_sakurano) June 9, 2021
以上で設定完了です!
おつかれさまでした!
- PC側の接続用ソフトを起動
- ヘッドセット側の接続用アプリを起動
- SteamVRを起動
- 『OpenVR-Space Calibrator』でキャリブレーションの舞
- VRChatを起動してキャリブレーション
一見すると手順が多そうですが、OculusアプリはPCと同時起動にしておけば自動的に立ち上がりますし、PICOの場合はストリーミングアシストと繋げばSteamVRが自動で立ち上がるため、もう少し時短は可能だと思います。
キャリブレーションの舞だけは毎回必要みたいですけどね…!
少し長くなりましたが、Quest 2やPICO 4を使って無線フルトラで遊びたい方は是非試してみてくださいね!
ベースステーションの電源管理は「スマートプラグ」がおすすめ!
トラッカーを使用する度にベースステーションの電源をON-OFFするのが面倒という方は、スマホやAlexaなどの音声AIから電源管理が可能な「スマートプラグ」の導入がおすすめです!
Oculus Linkでフルトラするときにベースステーションの電源をいちいち ON/OFF するのが面倒ってときは、スマートプラグを導入するとスマホからワンタッチで操作できるからおすすめよ!(Alexaで音声操作もできる) pic.twitter.com/ixu8PJcJDR
— 桜乃こはく🌸💎こはろぐ (@kohaku_sakurano) October 25, 2020
スマートプラグを導入すると、いちいち電源プラグを抜き差しせずとも動画のようにスマホのアプリ上からベースステーションの電源をON-OFFすることができます。
興味のある方は是非導入してみてくださいね!
番外編:INDEXコントローラを使いたい場合
既にINDEXを所持していて、Quest 2やPICO 4のコントローラではなくINDEXコントローラを使いたい方もいらっしゃると思いますので追記しておきます。
INDEXコントローラを使いたい場合は、ドングル機能でもあるINDEX本体をPCと繋いでおく必要があります。
DPケーブルは繋がなくて大丈夫なので、付属のUSBケーブルと電源コードだけは繋いだ状態でSteamVRを起動しましょう。
このとき、Oculusコントローラが認識されているとそっちに腕が持っていかれるので、動かない場所に置いて認識が外れるのを待つか、SteamVR起動前に電池を抜いておくなどの対応が必要です。
ただ、僕の環境下だとINDEXコントローラも毎回キャリブレーションの舞が必要だったので、その度にOculusコントローラの電源を入れるのもちょっと手間だと感じました。
おそらくもう少し手間を省ける気はしますので、何か良さそうな情報がありましたらまた追記したいと思います。
単体でフルトラが実現できるデバイスも数多く登場している
これまでVIVEトラッカーを使って”Quest 2″や”PICO 4″で無線フルトラになる方法をご紹介してきましたが、実は様々なメーカーからフルトラになるためのトラッキングデバイスが販売されています!
ここでは、その中の一部をご紹介したいと思います。
Uni-motion

Uni-motionは、6個のセンサーを体に取り付けることで、ベースステーションなどの外部センサー要らずで合計9点トラッキングが可能になる完全ワイヤレスのトラッキングデバイスです!
それ単体で使えて、VIVEトラッカーと同じように完全ワイヤレスで運用が可能。おまけにお手軽かつ約5万円でフルトラ環境が手に入るというリーズナブルさも売りとなっている注目の製品ですが、内部センサーで位置情報を取得している為、トラッキング精度はVIVEトラッカーに劣るというデメリットもあります。
乾電池で駆動するのも他の製品にはない大きな特徴ですね。
こちらの製品もレビューしていますので、よかったら参考にしてみてください!
HaritoraX

こちらも「Uni-motion」と同じように、外部センサー不要で身に付けるだけでフルトラになれるトラッキングデバイスです!
こちらは、有線モデルの『HaritoraX 1.1』と、無線モデルの『HaritoraXワイヤレス』(2023年6月発売予定)が用意されており、それぞれ特色が違います。
有線モデルの『HaritoraX 1.1』場合は、腰に取り付けるセンサーユニットから足に伸びるセンサーまでが有線で繋がれており、腰のユニットを通して電力が供給されます。(腰だけ充電すればOK)
価格が33,900円と非常にリーズナブルということもあり、Quest 2ユーザーからは一番人気の製品だと言われていますね。

無線モデルの『HaritoraXワイヤレス』は各ユニットが別体となっており、完全ワイヤレスで動作する新しいHaritoraXとして注目を集めています。
本体重量がわずか17gと非常に軽量でありながら、約20時間動作するパワフルなバッテリーが特徴的です。
ただし、こちらも内蔵センサーを使っていることから、外部センサーから位置を取得するVIVEトラッカーよりはトラッキング精度が落ちるというデメリットもあります。
mocopi

mocopiは、天下のソニーマーケティングから発売される6つの小型センサーを装着するだけで、
どこでも手軽にフルボディトラッキングできる、モーションキャプチャーシステムです!
こちらも内蔵センサーによるトラッキングシステムを採用しているため、HaritoraXワイヤレスと大きな違いはないものとされています。
ただ、mocopiの場合は内蔵されているセンサーの種類が2種類しかないため、互いのセンサー間を測定する「地磁気センサー」が内蔵されていません。センサー数だけで見ると「HaritoraXワイヤレス」のほうに分があるため、この辺りが評価ポイントの分かれるところです。
また、mocopiの運用には対応しているスマートフォンが必須なので、これ単体で運用することはできません。
その代わりに、本体重量は8gと超軽量かつ、対応するスマホアプリから手軽にフルモーションで配信できたりと、活躍の幅が広がる可能性を秘めた最も注目されているデバイスです!
こちらも下記のリンクからレビュー記事を上げています!
こんにちは!桜乃こはくです!🌸